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プロローグ

霊和繚乱
~花子さんサミット~

時は二〇二X年。
デジタル化の波は、幽霊たちの居場所をも奪い去ろうとしていた。

「最近の子は、トイレのドアを叩かないのよ」

誰かが呟いたその言葉が、終わりの始まりだった。
人々の心から「畏れ」が消えた時、怪異は存在を維持できなくなる。
北海道の雪女も、沖縄のキジムナーも、
皆、静かに消滅(ロスト)の時を待っていた。

だが、一人の少女が立ち上がる。
赤い吊りスカートを翻し、彼女は言った。

『忘れ去られること、それが本当の死よ。』

これは、消えゆく運命に抗い、
再びこの世に「恐怖」と「萌え」を刻み込むために集った
四十七人の花子たちの、愛と戦いの記録である――。