第一章
白銀の起動
~CODE: FROST~
「……回線接続。仙台フリーWi-Fi、オールグリーン」
宮城の『仙台ギガビット花子』が、虚空に浮かぶ認証画面をタップする。
彼女の呼びかけに応じ、東北全土のネットワークに電流が走った。
「ラッセラー! ラッセラー!」
最初に反応したのは青森だ。
狂気的な囃子(はやし)と共に、『ねぶた囃子の熱狂花子』が巨大な鬼の山車を引いて現れる。
その横では、福島の『会津の赤べこ花子』が、何も聞いていないのに「そー、そー」と激しく首を縦に振り続けていた。
「泣ぐ子はいねがー!」
「王手!」
秋田の『なまはげ憑き』は包丁を振り回し、
山形の『天童の駒』はルール無用の将棋プレスで地面を陥没させる。
岩手の『遠野のカッパ花子』だけが、皿の水をこぼさないよう優雅にお辞儀をしていた。
カオスだ。あまりにも統制が取れていない。
ギガビット花子が頭を抱えそうになった、その時。
気温が、瞬時にマイナス30度まで低下した。
「……あんたたち、覚悟はあるのかい?」
猛吹雪の向こうから、巨大なスコップを背負い、熊の毛皮を纏った影が現れる。
北の絶対王者、北海道の『試される大地花子』だ。
彼女は震える一同に、湯気の立つバターコーン味噌ラーメンを無言で差し出した。
『食ったら行くぞ。東京が、私たちを試している』
最強にして最狂の北国連合(CODE: FROST)。
今、南への進軍が始まる。